第36号(2020年春号)

第36号(2020年春号)

2020/07/14

36 4月に入り暖かくなってきましたが、日本でも世界でも新型コロナウイルスの感染が拡大していて、明るい気持ちになれない日が続いています。先行きが見通せない中で、判断しないといけないことがいろいろあり、こんなときこそ冷静にとは思っても、実際冷静でいるのは難しいものだと感じています。

 それでは、「ひねの通信」36号をご覧ください。

 

未知のものへの対処 ~新型コロナウイルス~

 新型コロナウイルスの感染拡大が、中国から世界へと広がっています。日本でも緊急事態宣言が行われ、これまで経験したことのない事態へと展開しています。

 

 私たちが日常的にひく風邪も、その10%強は、(新型ではない)コロナウイルスを原因とするそうです。しかし新型コロナウイルスは、「新型」というだけあって、よく知られていません。どのように感染するのか、どのような症状をもたらすのか、どのような治療が効果的なのか、現時点ではかなり明らかになってきていますが、中国で感染拡大し始めた当初は、ほとんど何もわかっていませんでした。

 

 未知のウイルスに対して、武漢の人たちがパニックになって病院に押し寄せ、亡くなられた方の遺体が病院の廊下に放置され、患者が泣き叫ぶ動画が世界中に拡散しました。これによって、世界中の人々に恐怖心が植え付けられたと思います。このような状況において、私たちが冷静に、合理的に対処することがいかに難しいか、を強く感じました。

 

 真逆の意見がメディアやSNS上で繰り広げられました。

 「人から人へは感染しない(する)」

 「マスクは感染防止に有効(無効)」

 「首都が封鎖される(されない)」

などなど。こういった意見が正しいかどうかを見極めることができるか?私たち1人1人が問われていると思います。

 

 私自身は、厚生労働省が発表する資料・データやクラスター対策班の方々の見解を基本として、様々な意見を見極めるようにしました。

 意見の見極めの次は、自分がどのように行動するかを決めなければいけません。子どもを学校・塾に行かせるのか。食料は備蓄しておくのか、備蓄するとして何日分か。通勤は電車にするのか、車か。電車なら時差通勤にするのか。そもそも仕事を休むか。夜の食事会は参加するのかやめるのか。

 間違った意見を信じ、新型コロナウイルスを軽視した行動を取ってしまえば、自分や家族、同僚に危険を及ぼしてしまいます。逆に恐怖を感じるあまり過剰反応をしてしまえば、同僚やお客様に迷惑をかけてしまいます。

 

 この2か月間ずっと、未知のものに対処することの難しさを強く感じ続けています。何が正しい行動だったかは、半年後くらいになって初めてわかると思います。正しい行動ばかり取ることは不可能ですが、メディアに振り回されず、冷静で合理的な行動を取るように心がけたいと思います。

 

(次長 公認会計士・税理士 日根野健)

 

 

新型コロナウイルス 国税の申告や納税などの対応

新型コロナウイルスの影響で、個人の所得税、贈与税、個人事業者の消費税については、申告期限等が一括延長されましたが、その他の国税、例えば法人税などについては、個別対応となります。

 

 ●経理担当者が新型コロナウイルスに感染したり、濃厚接触者になったため、部署を閉鎖した

 ●感染拡大防止等のため、企業が休暇取得の勧奨を行い、経理担当社員の多くが休暇を取得した

 ●感染拡大防止のため、多数の株主を招集させないよう、定時株主総会の開催時期を遅らせた

 ●在宅勤務の勧奨等で、通常の業務体制が維持できない

 ●その他、新型コロナウイルスの影響で期限までに申告が困難である

 

 上記のような事情がある場合、個別に申告期限等の延長を申請できます。税務署に申請書を提出するか、申請書の提出に代えて、申告書の余白に ①申告・納付等の期限の延長を申請する旨 ②新型コロナウイルス感染症に関連して申告・納付等を行うことができない具体的な事実 を付記することになります。

 また、資金繰りの悪化等で納税が困難な場合は、税務署に申請を行うことにより、最大で1年間の分割納付が認められ、延滞税が軽減又は免除される納付の猶予制度があります。

 

 今回の新型コロナウイルスの影響により、税務署もかなり柔軟に対応しています。期限までに申告・納税が困難だと見込まれる場合は、お早目にご相談くださいますようお願いいたします。

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